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東北ライブハウス大作戦 ファッション化問題  

 

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 東北ライブハウス大作戦のグッズが普遍的な認知を得て身に着けている人が多くなるに従って、全国各地のフェスやイベントに足を運ぶたびに違和感を感じることが増えてきた。

 私が違和感を感じるというのもおこがましい話であるが、グッズを身に着けている人たちは、そもそも東北ライブハウス大作戦とはなにかということを知っているのだろうか。

 どうして各地の音楽イベントで東北ライブハウス大作戦ブースを展開し、物販を行っているのかということを考えているだろうか。

 

東北ライブハウス大作戦とは

 

 東北ライブハウス大作戦とは、ライブPAチーム「SPC peak performance」が中心となり被災した地域の復興に向け自分たちに出来ることはなにか。協力できることは何かを模索した結果、東北三陸沖沿岸地域にライブハウスを増設する「東北ライブハウス大作戦」というプロジェクト。宮古、大船渡、石巻にライブハウスを建てそこに、バンドやミュージシャンが訪れることで互いに元気を与え、元気をもらい、また震災の爪痕が残る被災地を痛感することにより、復興への気持ちを広げて、少しでもつなげていくことが目的とある。(石巻ブルーレジスタンスHPより抜粋。)

 そこにKO(SLANG)、細美武士(MONOEYES、The HIATUS)、TOSHI-LOW(BRAHMAN、OAU)、Ken Yokoyama、ホリエアツシ(ストレイテナー)などの人物が全面的に協力したことでバンドが中心となって活動が行われていると思われることが多い。しかし地元の人がライブハウスの建設を行い、今も運営を行っている。

  震災による義援金で建てたライブハウスの運営を行う地元の人は決して利益になるから行っているわけではない。実際ライブハウスの運営は厳しく、東北地方の多くは、充分なインフラ整備はされていないし、震災による風評被害が残っている。過疎化が進行し、運営を行う人手も不足しているため、仕事終わりに有志によって運営を行う。お金や名声のためではない。地元に来てくれるミュージシャンのため、公演に足を運んでくれる方々のために行っていることだ。

 

 以前クラブカウンターアクション宮古の公演に足を運んだ際に、オーナーである太田さんは「また来てくれてありがとう!見てのとおりガラガラだよ!! とりあえず今日は楽しんでって、今度は友達も連れてきてくれよ。ガハハッ!!」と豪快に笑い飛ばしていた。売れ行きの悪い公演は赤字になり、運営としては大きな打撃を受ける。宮古にミュージシャンを呼んでくれたことに感謝するべきは私のほうだ。そのことに胸がいっぱいになった。集客に大きな影響を与えることもできない私はただ、感謝を述べることしかできなった。

 このような地元の人の温かさでライブハウスの運営は成り立っているのだなと身をもって実感した。人気のミュージシャンでも地域によってチケットの売れ行きは変わる。明確な予測が立てづらいということも運営の難しさの1つである。

 

 東北ライブハウス大作戦の活動に話題を戻すが、ライブハウスの建設と運営を主な活動としたうえで、物販がある。東北ライブハウス大作戦のロゴが入った、ラバーバンド、Tシャツ、パーカーなどの多岐にわたるグッズの販売利益を復興の支援金にするというものである。実際に今日でも多くのアーティストやキッズがグッズを身に着けている。ちなみに白いラバーバンドは東北復興の牽引者となるアーティストとSPCスタッフが着けている。

 

 しかし最近、東北ライブハウス大作戦の目的を知ろうともせずに、グッズを身に着けてる人たちがいることに心が痛んだ。 着用そのものを指摘するつもりはないが、ファッション感覚での着用に関して疑問を感じずにはいられない。

 

ファッション化問題

 東北ライブハウス大作戦の活動を応援しているという表明で身に着けるのが本来あるべき姿勢であるが、「大好きなバンド、ミュージシャンとお揃いだから」「なんとなくカッコいいから」という理由で着けているということを耳にする。最近では、東北ライブハウス大作戦に関係ないミュージシャン・アイドルのライブやイベントにまで、それらを身に着けている人を目にする。これは場違いではないか。

 東北ライブハウス大作戦の活動を応援していて、その活動を少しでも広めたいという純粋な気持ちで身に着けているのか。それともただのファッション感覚か。

 どんな理由にしろ人の着用物を強制する権利などないが、TPOを考えることもファンとして重要な務めではないだろうか。

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 ファッション目的の購入も、正規のルートで買えば、被災地支援になる。ただ身に付けたい気待ちが優先するあまり転売も横行し、被災地支援にも繋がらないケースもあるのが現状。無理に東北のことを知れとは言わない。折角買うなら正規のルートで購入する心構えはせめて持って欲しい。

 アイドルの生誕イベントの日に東北ライブハウス大作戦のTシャツを着てきて、「なんかカッコいいじゃないすか。おれ東北出身だし取り敢えず着ておこうかなって」と言っていた人が買ったグッズだって被災地への貢献になる。それを考えれば正規のルートで購入さえしていれば支援者の1人といえる。

 

 

東北ライブハウス大作戦を背負う

 ここまで話してきたことは、誰も明言していないし、ルール化もしていない。完全に私の主観であるから強制力はないことを前提としたうえで、考えてほしい。

 大切なのはお金だけではないはずだ。

 アーティスト着用しているグッズを通して、被災者・被災地の痛み、悲しみ、思い、前進する姿勢。東北ライブハウス大作戦の尊い活動についてもう少し知ることはできないだろうか。

 被災者の気持ちに寄り添えば、東北ライブハウス大作戦を身に着けることの意味を理解できるはずだ。

 

youtu.be

 変わり果てた街並み。最愛の人を亡くす苦しみ。「一緒にライブに行く」という約束さえも永遠に叶えられない人。津波にのまれた人の帰りを待つ家族。数えきれない悲しみを背負っている被災者、被災地に対して復興を目指し、想像を絶する出来事を風化させないため、今なお続く諸問題の解決に向けての取り組みを行う東北ライブハウス大作戦の活動は、当たり前の日常すら失ってしまった人々の心に寄り添っている。

 私がそうであるように東北ライブハウス大作戦の文字を見た被災者の中には東日本大震災を想起する人がいることも事実。

 

 デザインが気に入ったり、アーティストと同じグッズを着たい気持ちも分かる。はじめはファッション感覚で着用という入り口でも構わない。それでも、それをきっかけにして、少しでも震災のことや東北のことを知ってほしい。ファション化することを悲観しているのではなく、ずっとグッズを身につけているにも関わらずに東北ライブハウス大作戦とはなにかを知ろうとしない人に対する違和感。ただの衣服、ブランドとして成立していくことで忘れ去られてしまうことがあるような気がしてしまう。

 震災を過去の出来事としないためにも少しでも多くの人がグッズを購入し、着用して、東北ライブハウス大作戦の支持者であるという当事者意識、仲間意識を持ってライブを楽しむことが理想であると思う。そして、もう少し足を踏み入れて震災を理解し広めていくこと、震災を風化させないことが本当の意味で東北ライブハウス大作戦の成功に繋がるだろう。

 

 

 

 

 追記:フリーライターとして活躍されている石井恵梨子氏著作の「東北ライブハウス大作戦~繋ぐ~」のなかで、東北ライブハウス大作戦の活動について詳細が記されている。多くの人に読んでいただきたい一冊である。

東北ライブハウス大作戦 ?繫ぐ?