LIFE LOG(やぎぶろぐ)

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The Mirraz 9ヶ月ぶりのアルバム「RED JACKET」から思ったこと

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 『TOP OF THE FUCK'N WORLD』を聴いた時の「こんなに情景をイメージしやすくて歌詞をギュッと詰め込んだラップとも言えない早口で歌うグループがいるのか」と思ったものだ。ミイラズを初めて聴いたのは中学生の時。当時、ロッキング・オンの熱心なファンで好んでロッキングオンが紹介しているアーティストを聴いていた。

 彼らが収録曲の大半をラブソングで構成されているアルバムをリリースしたときは、どこか置きに行っている気がして納得がいかない部分があったが、いざ聴いてみると持ち前の風景が自然と想像できる具体的な詞やギター重視の楽曲は健在で、リード曲である「言いたいことはなくなった」は擦り切れるほど聴いた。ひたすら歌詞に共感しまくってたし、影響も受けまくった。

 何がそんなに魅力なの?と言われればやっぱり、歌詞の多さとボーカルの畠山の早口で歌われていく楽曲だろう。曲の中にこれでもかと歌詞を詰め込んでいて歌詞をふんだんに盛り込み驚くほど聴き取りやすく心地いい。畠山が早口の練習はよくしているとラジオで話しているのを聴いたことがある。もしかしたらその努力のおかげかもしれない。

 それ以前の曲は後追いで知ったが、なんでこんな神曲を知らなかったのだろうと後悔したほどだ。

 まずはこの曲を聴いてほしい

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 『NECESSARY EVIL』収録。

 

《僕の価値観と君の価値観はどうやら全然違うみたい それでもいつだって世界はひとつなんだ それはそれでオーケー僕は部屋に閉じ籠ることにするよ》
(“イフタム!ヤー!シムシム!”)

 この曲を聴いて、どれだけ熱心なマニアである人の気持ちをよく分かっているのだろうと感じた。きっと畠山も皆で集まっていつもパーティーを開くようなタイプの人間ではないことが伝わってくるし、何となくそうであってほしい。

 この曲を聴いたら誰もが自分自身と重ね合わせずにはいられないだろう。好きな曲を他人に薦めてみたことがある人ならば体験したことがあるであろう経験。

「めっちゃいい曲だから聴いてみて!」大好きな曲を他人に薦めても本当にありがたいと思って聴きこんで、適切に評価してくれる人なんてまずいない。

 自分の好きな曲を本当の意味で分かってくれる人なんていないのだと思って塞ぎこんだ。今流行りのテレビやCMで流れているような曲にしか興味ない人が大半なのに何を期待していたのかとバカバカしくなったこともある。

 これは私に限った話ではなく、自分の好きなこと、弱い部分を完全に理解してくれる人はいない。大半の人は分かりもしないのに自分の経験則に当てはめて「分かる!」とほとんどの人が、わかったフリをしてくれる。でも実際は本当の自分を分かる人は自分だけなはずなので分かってくれる人なんていない。そんなしがらみと戦うことが面倒になったら部屋に閉じ籠ることにするだろう。先のことなんて考えずに過去の思い出だけで暮らしていけたら、これ以上幸せなことはない。

  この曲を聴いたときに、そんな自分の思いが洪水のように溢れだした「本当にその通りだ」と楽曲に対してシンパシーを感じるのである。だから惹かれる、歌詞に共感するのである。

さらにミイラズというバンドを象徴している曲がある。

 

www.youtube.com

 「夏を好きになるための6の法則」収録。

 

《マジでマジに世界を変えたいと思っているんだ  そんな超すげー伝説的名曲を作りたいと思ってるんだ なんとしても そうパクリをしても そうこの命が尽きるまでは諦めれないよ》

 

まさに「名曲」。アーティストならば誰しも抱えている思い。「何としてでも売れてやる、どんな手を使っても売れてやる、自分らの武器は音楽なのだ」という強い気持ちを感じる。

「音楽はもう出尽くした」なんてことをよく聴く。しかし、どんなアーティストにだって他のアーティストと似たコードから成っている曲がたくさんある。完全に新しい曲であるといわれる曲を創ることは困難な時代になった。Youtubeのコメント欄をみればいつだって「〇〇っぽい」というコメントが散見される。だからこそ、「パクリをしても売れたい。パクリといわれてでも売れたい。」そんな純粋な思いに胸を打たれずにはいられないのである。

 画期的で売れる曲を作りたい。そんな奇跡にも近い野望を誰もが思っていることを見せつけられた。

 

《カップヌードルシーフード作る間に 世界は変わるんだって 麺がふやけるみたいにさ 食べれない物が食べれるようになる時間なんだぜ 世界が変わったっておかしくない》

(名曲)

 

この曲を聴いて私の価値観は一気に変わった。それまでは、今まで生きてきた蓄積によってその人間ができているのだと思っていた。でも、この曲に出会って私はわずか3分程度で世界が変わってもおかしくないと本気で思えた。

 本当にすべての人間が運命の一曲、宝物ともいえる一曲に出会うことが出来たならきっと世界を変えられるのではないか。たった数分で不可能が可能になる時代なら、名曲が生まれることもあるのではないか。

 音楽を通じて世界を変えることは可能であると私は信じている。きっと音楽が好きな人ならばそうあってほしいと願っているはずだ。

  2016年1月13日に発売されたシングル『パンドラの箱、ツンデレっすね』ではEDMを取り入れ始めて、進化と探求を続けているミイラズ。もっと多くの人に知ってほしいバンドであるからこそ、「昔のほうが良かった」といわれるバンドで終わってほしくない。

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記事の前半に挙げた2曲と明らかに違う。 

 彼らは以前ROCKIN’ON JAPANのインタビューで「EDMを取り入れた楽曲を創っていくことに関して新たな試みであり、挑戦でもある」と語っていた。

当時はどんな仕上がりになるのかと楽しみにしていたが、少し期待外れだった。

 

曲全体が入って頭に入ってきにくくなってしまったし、心地よいギターサウンドといった感じでもない。常に挑戦を続け、他のバンドに出来ないことをやってのけるミイラズが好きだ。コアなファンのみをターゲットとしたような独特のセンスを持ち合わせたミイラズがもっと多くの人に知られてほしい。 畠山が楽曲の作詞作曲やMVを手掛け、鳴らすサウンドの粗っぽさが個人的には好きだったのにEDMの導入により、それが薄れてしまったということを残念に思う。

 

ミイラズは常に新たな挑戦を続けて、現状で満足することなどないだろう。メンバー脱退があったり、特典付きの500円シングルをリリースしたり、自主レーベルを立ち上げたりと様々な困難に立ち向かい続けている。

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2017年12月4日 発売されたアルバム『RED JACKET』収録。これを聴くのは少し怖くもあり、楽しみでもあった、様々の思いが交錯する中、いざ曲を聴いてみた。結論から言うとミイラズ節炸裂。最高の一言に尽きる。

《これはもう行くっきゃないぜ って一体どこへ向かうっていうの?まぁぶっちゃけどこへ向かってるのか自分でもわからない ブレーキも壊れてないし いつだって止まっていい だけど止まっちゃいけない そんな気がしてる 今はとにかく進むしかない こんな時代だ 覚悟なんて出来やしない 誰もが未来を不安に感じてんだ 進むんだ勇気ある者よ 今は伝説じゃなくたっていいから平凡のまま行こうぜ さぁ DAMN DAMN DAMN このまま》

(DAMN)

ミイラズ自身のことを歌っていながら、応援歌にもなっているこの一曲がこれからのミイラズの決意表明なのだということがよく分かった。全て踏まえて構築されたアルバムだからこそ、説得力に満ち溢れていて、歌詞の一つ一つが等身大のミイラズを体現している。2016年10月5日に初のベストアルバム『BEST! BEST! BEST!』を発売し、バンドをかつてないほど見つめることも多かったと思う。ベストアルバムをリリースするほどキャリアを積んできた彼らが今回、このような楽曲を発売したことでとても興奮したし、終始感動しっぱなしであった。一度、残念であると感じた部分があったからこそ今回の曲の感動は大きかった。

 

このアルバムを全国12箇所リリースツアーをRED(赤字)覚悟でツアーを回ると公式で発表している。これからも予測不可能、破天荒で、意味不明のMCでオーディエンスを置き去りにしてしまう彼らの活動を見守り続けたい。