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音楽的な側面から考える地域格差と若者の地方流失について

日本取り巻く重要な問題としての地域格差について音楽市場と併せて現状分析をしていきたい。

 

 

地位格差・人口減少・少子高齢化の基礎知識

地域格差とは2つ以上の地域間にみられる社会的,経済的な発展の差異。 単なる地域的差異をさす地域性,地域分化とは異なり,発展度,発展段階の違いを意味する。 これは通常,産業の発達度,より具体的には民力とか1人あたり所得の地域的な差となって現れる。出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 

すべての行動力を奪う遠征

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http://geodatavisualize.tumblr.com/より抜粋。

このサイトによると東京への移動日は、このような値段となっているが、これは最安片道の料金であり、劣悪な環境を避けようとすれば実際には、3倍以上かかるのではないかと思う。さらに宿泊先の確保や遠征先での食事など費用が掛かる要素はまだまだある。

 

このような現状にある地域格差を考えるうえで、カギとなる問題として人口減少がある。

平成27年国勢調査1によると、2015年の総人口は1億2,709万人、生産年齢人口(15歳~64歳)は7,629万人である。 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計2によると、総人口は2030年には1億1,913万人、2053年に1億人を割り、2060年には9,284万人にまで減少すると見込まれている。

さらに現在の日本は、4人に1人が高齢者であり、厚生労働省所属の機関である国立社会保障・人口問題研究所では、2035年には総人口に占める高齢者の割合が33.4%となり、3人に1人が高齢者になるという推計もある。

高齢化は地方で特に深刻な問題であり、人口に関しては日本の総人口のうち6割以上が都市圏に集中しているのである。このような都市圏への人口集中のことを一極集中という。

 

さて、ここまで書いてきて、音楽シーンも迫りくる高齢化の波と真剣に向き合っていかなければならないのだと一層深刻に考えている。

このような現状が進行していったとして起こりうる問題は、大きく分けて3つある。

1.  地方に音楽イベントの消滅

現在のイベント市場は都市型イベントが人気である。

地方には人が少なく、動員が見込めないのだから当然の流れともいえるが、地方も独自性を出すようなフェスの開催を積極的に行っている。今や各都道府県で1つは音楽フェスが開催されているのではないだろうか。

このような流れは現在の体験を重要視する流れを汲み取った、地方ならではの前向きなものを感じるし、行政と一体となって行っていることもあり、これは素晴らしい取り組みである。

地方が独自の色を強めていることも現在の特徴だが、アーティストを生で観る機会、様々なアーティストを観る機会、音楽そのものと触れ合う機会というものは圧倒的に地方のほうが少ない。

イベントも地域に根差したベテランバンドなどが中心であるし、若手バンドや若者向けのアーティストを呼ぶだけの資金があるかは疑問が残る。しかし、これが若者向け過ぎると動員を伸ばすのは難しい。

現状では新しい出会いは生まれにくいし、これからのことを考える一層の若者が地方を離れていくようになっても仕方ないのではないかと思ってしまう。そうすればイベントそのものの動員も見込めず開催すらも危ぶまれることも出てくるだろう。

 

2.有望な若者の流失

地方イベントが終了し、開催が困難となる状況が訪れたとして、地方でイベントを打とうと発起する人材がどれだけ地方に居るだろうか。

ポップカルチャーを愛する若者、詳しい若者既に都市圏に流失し、地方に残された人々は既に音楽を懐古的に楽しんでいる人々。

これでは決して音楽イベントを地方で開催することにはならないだろう。

もし歴史に名を残した偉大なアーティストが公演を行うならば、全国を回らず、主要な都市圏のみで行うのだからそれに足を運べばいい。それならば敢えて自分の街にアーティストを呼ぶことはない。

このような諦めの感情が芽生え、必要最低限の公演に足を運べばいいという構図になれば、地方でのイベント開催に未来はない。

ますます若者が流失し、都市圏のみで動員するしかなくなる。

そして、アーティスト活動をしたいと考えている若いアーティストも活躍する場所がないのだから地方を離れていくだろう。もはやインターネットが若者の主戦場と化している。ライブハウスで実力を磨き、ファンを増やしていくという構図が生まれることすらない現状が既に生まれている。

 

3.音楽に必要性を感じなくなる

音楽の必要性については常に危機感を抱いているわけだが、人口問題から考えるとさらに憂鬱だ。若者が圧倒的に少ない中で、音楽が今後どのように登場していくのか、オールスタンディングが圧倒的に多い現在の音楽イベントがどのように変化していくのか。

若者向けの音楽がなく、簡単に音源も手に入る。さらにイベントそのものも動画やVR、パブリックビューイングのようなもので疑似体験できるならば、多くの苦労を要する移動に時間を掛けてまで、音楽を体験しに行く必要はあるのかという疑問さえ生まれてくる。

音楽好きの人ならば、生に勝る喜びはないと考えるかもしれないが、今後の技術革新の可能性は予測不可能だ。現実並にリアルな体験ができるようになれば、ライブ会場に足を運ぶメリットを感じなくなる日も来るかもしれない。

 

少し推測交じりで述べてしまったが、はっきりと分かることは今後地方で音楽に触れ合える機会というものは減少していき、都市型フェスが一層の多様化を見せていくということだ。

 

 

この現状とこれから先の未来を考えると決して明るい気持ちにはなれないのだ。

そしてこのような地方の現状を打開するための有効な案は無い。

 

4.これからの音楽シーンについて

人口そのものが減っていて、地域格差は埋まらない。これは日本全体がそうなってきているのだからどうにもしようがない。

しかし、地方で生まれたというだけで音楽シーン、さらに広域化すればポップカルチャーそのものに触れ合う機会が奪われるということは避けなければならない。

どうにかもがく気力すら失われて諦められれば、若手が育たず、地方がカルチャーに対して無関心になっていく。

音楽シーンを待ち受けるのはこれからの日本と同様に暗い未来なのかもしれない。

それでも今あるものを愛し、イベント開催や全国を回る興行で、若手を育てていくしかない。音楽への愛がある人が大勢いる限り、音楽を楽しむ体験は減ることはないだろうし、地方の活力や奇跡的な公演を何度も観てきた。

だからこそ、これからの音楽シーンに期待するしかないのだ。